採用コストとは|基本知識と今すぐ実践できる3つの見直しポイント
採用活動を行うとき「採用コスト」とよく聞くけれど、
・そもそも採用コストとは何?
・採用コストにはどのようなものがあるの?
・一人採用するためには、どのくらい費用がかかるの?
といった疑問を持った人も多いのではないでしょうか。
多くの企業の採用成功に関わってきた私たちが、採用コストの意味や内訳、平均相場について詳しくお話しします。
この記事を読んで、自社の採用活動に活かしてくださいね。
「採用コスト」とはどういうもの?
まずはじめに、採用コストについて詳しくみていきましょう。
採用コストとは?
採用コストとは、「企業が人材を採用するのにかかる費用のこと」です。
人材を採用するためには、求人募集していることを広報したり、選考するために社員を配置したりと、さまざまな費用が発生します。
では具体的にどのようなものが採用コストと呼ばれるのか、次の項で詳しくお話しします。
採用コストの内訳は?
採用コストは、「外部コスト」と「内部コスト」の大きく2つに分けることができます。
どのようなものがあるのか、それぞれみていきましょう。
◆外部コスト
外部コストとは、「自社以外の外部の会社に支払った費用のこと」を指します。
外部に依頼する費用で、もっとも代表的なものが「求人広告費」ですが、それ以外にもさまざまなものが外部コストに分類されます。
具体例を以下にまとめていますので、確認してください。
・求人広告費
・人材紹介会社への手数料
・合同説明会やセミナーなどの会場費
・会社案内や採用パンフレットの印刷費
・自社サイトやPR動画の制作費、など
◆内部コスト
内部コストとは、「社内の採用業務にかかる費用のこと」を指します。
さまざまなものが内部コストとして挙げられますが、そのほとんどを「人件費」が占めているのが特徴です。
具体例を以下にまとめていますので、確認してください。
・採用担当者の人件費
(求職者の面接、求人広告の打ち合わせ、説明会やセミナーの運営にかかった時間など)
・面接時にかかった交通費や宿泊費
・リファラル採用(知人紹介)のインセンティブ
・内定者懇親会や親睦会などの交際費、など
《新卒・中途別》一人あたりの平均採用コストはいくら?
採用活動を行った結果、一人当たりどのくらいの費用で採用できたのか把握できていますか?
自社の採用活動は効率的に行われているのかどうかを判断するには、採用コストの総額よりも、一人あたりの平均採用コスト=「採用単価」が重要となります。
ここからは、「採用単価」について詳しくお話します。
採用単価とは
採用単価とは、社員を一人採用するのにかかった費用の平均額のことです。
採用単価は、「採用コストの総額」÷「採用できた人数」で算出することができます。
採用コストと採用単価から効率的に採用ができたかを判断することが可能です。
例を使って見てみましょう。
・A社 採用コストの総額:300万円、採用できた人数:5名
・B社 採用コストの総額:450万円、採用できた人数:10名
これだけを見ると、A社よりB社の方が採用コストを多く使っているため、採用の効率が悪いのでは?と判断してしまいがちです。
しかし採用単価で見ると、
・A社 「採用コストの総額:300万円」÷「採用できた人数:5名」=採用単価:60万円
・B社 「採用コストの総額:450万円」÷「採用できた人数:10名」=採用単価:45万円
となるので、結果的にB社の方が採用単価を安く抑えることができている=採用の効率が良いと判断できます。
このように、採用単価は採用コストだけでは見ることができない、「採用活動が効率的に行えているのかどうか」を判断したいときに有効なのです。
「新卒採用」と「中途採用」の採用単価とは
採用単価は、新卒採用と中途採用で大きく異なります。
企業の規模や採用予算、またどのくらいの人数を採用するのかなどによっても変わってくるのです。
正確な採用コストを把握するためにも、新卒採用・中途採用それぞれの平均採用コストと平均採用単価を知っておきましょう。
◆新卒採用の採用単価
新卒採用の採用単価と採用コスト総額の平均を以下にまとめています。
新卒採用の一企業当たりの採用コスト総額の平均:557.9万円 (※1)
この数字はあくまで平均であるため、全ての企業に当てはまる訳ではありません。
会社の規模などによって大きく異なり、
・上場企業の採用コスト総額の平均:1,783.9万円(※1)
・非上場企業の採用コスト総額の平均:375.1万円(※1)
・全ての企業の採用コスト総額の平均:557.9万円(※1)
と記載されています。
特に新卒採用の場合、多くの企業が「新卒一括採用」という方法を取っているため、採用人数や採用にかける予算によって費用に大きく違いが生まれます。
つまり、一回に採用する人数が多いほど採用単価が下がりやすいと言えるのです。
そのため採用コストや採用単価の平均は、あくまで参考数字として把握しておきましょう。
(※1)参照)『2019年卒マイナビ企業新卒内定状況調査』
◆中途採用の採用単価
中途採用の採用単価と採用コスト総額の平均を以下にまとめています。
中途採用の一企業当たりの採用コスト総額の平均:831.9万円 (※3)
この数字は業種や採用方法によって数字は異なるため、参考程度にしましょう。
中途採用は経験者を希望することが多いため、多くの人に情報発信できる求人広告や、採用条件を満たした求職者を紹介してくれる人材紹介に費用をかける企業が多いです。
そのため、求人広告費や人材紹介への手数料といった外部コストが高くなる傾向にあります。
(※2)参照)「就職白書2019 就職みらい研究所」
(※3)参照)「マイナビ 中途採⽤状況調査2020年版」
今すぐ実践できる!採用コストを見直す3つのポイント
新卒・中途採用関わらず、採用コストは年々上昇傾向にあります。
限りある採用予算を効果的に使うためにも、どのようなポイントで採用コストを見直したら良いのかお伝えします。
(1)採用方法を見直す
・どのような採用方法を利用して、どのような結果(応募者、採用人数など)が得られたのか
・どの採用方法から応募があった求職者が、自社の求める人材に合致していたか
といったこと把握し分析すれば、自社にマッチした採用方法がわかります。
募集する職種やターゲット、どのくらいの期間で採用したいかなどの目的によって、適切な採用方法は異なるため、見極めと見直しが必要です。
・掲載している募集媒体は何か
・求人の掲載時期、期間はどのくらいか
・求人応募の数はどのくらいか
・求人応募者の質はどうか
・採用できた人数は目標に対してどうか
上記のポイントをもとに、今の採用方法の振り返りと、今後の対策を考えましょう。
採用コストを抑えることができる採用方法には何がある?
売り手市場が続くなか、厳しい採用難でも採用できるよう、様々な採用方法が注目されています。
求人広告といった従来の採用方法以外にも、新しい採用手法が注目されていますので、いくつか紹介します。
リファラル採用とは縁故採用、知人採用とも呼ばれ、社員の親族や知人の紹介を活用した採用方法です。
社員を通して仕事内容や社内の雰囲気などの自社への理解が進んでいることが多いため、ミスマッチが少なく離職率が低いことから、中途採用を中心に導入する企業が増えています。
この採用方法では、紹介してくれた社員へのインセンティブを設けるのが一般的ですが、求人広告を出すよりは採用コストを削減できる点もメリットと言えるでしょう。ダイレクトリクルーティングとは、企業が採用したい人物へ直接アプローチする「攻めの採用手法」と呼ばれる採用方法です。
具体的には、FacebookやTwitterなどのSNSを活用する方法や、ダイレクトリクルーティング求人サイトを利用する方法などがあります。
無料で使えるSNSを利用したり、基本的にデータベース使用料のみの費用で済んだりと、採用コストをかけずに採用活動を行うことが可能です。※あわせて読みたい
・採用担当者必見!絶対に知っておくべき「ダイレクトリクルーティング」とは?
自社採用サイトとは、企業サイトとは別の採用に特化したサイトです。
採用情報だけでなく、社内の様子や働く社員へのインタビュー、実際の仕事内容の写真や動画など、実際に働く自分をイメージしやすくなるようなコンテンツを掲載することが可能です。
自社採用サイトを最大限に活用できれば、求人広告などの採用コストを減らすことができるのです。※あわせて読みたい
・話題の自社採用とは|成功に導く3つの採用手法とメリットデメリット
(2)内定者フォローを徹底する
内定辞退が起きてしまうことも、採用コストが高くなる原因の一つです。
内定を出したら、直接会う機会を増やしたり、メールやSNSなどで連絡を取ったりし、コミュニケーションを密に取るようにしましょう。
入社まで企業からまったく連絡がないと、候補者が不安になり、他社への入社を決めてしまうこともあります。
特に近年は売り手市場のため、複数の会社から内定が出ている求職者も多くいます。
入社までに、内定者同士や社員との交流の場や、職場見学、自社採用サイトやSNSなどで社内のイベントの様子などを発信といった、内定辞退を減らすためのフォローを行うようにしましょう。
(3)入社後のミスマッチを防止する
入社後の早期退職は、これまでにかけた人件費や求人広告費などの採用コストがすべて無駄になってしまいます。
早期退職の主な理由は「入社前に抱いていたイメージと実際の内容が違った」というような、認識のミスマッチや、求める能力に足りなかったというスキル面でのミスマッチであることが多いです。
このようなミスマッチを防止するためには、入社するまでにどのくらい企業と求職者お互い意思疎通ができているのか、同じ認識でいるかが重要です。
認識に違いが起きないよう、求めるスキルや実際に行う仕事内容などの採用情報やどのような会社なのかを自社採用サイトなどを通じて、求職者が企業を深く知るための情報提供を行うようにしましょう。
・社員インタビュー
・1日の仕事の流れ
・福利厚生や研修制度
・入社後のキャリアステップ、など
※あわせて読みたい
・採用力強化に不可欠!自社採用サイトのメリット・デメリットと必要性
まとめ
厳しい採用市場が続き、満足のいく採用結果を得られていない企業も多いのではないでしょうか。
採用予算を適切に使い、効率的に採用を行うためにも、ますは自社の採用コストについて正しく把握しましょう。
この記事が参考になれば幸いです。